本編の没案

『噓つきな魔術師は恋をしない』本編ゲームをプレイしてくださった方、ありがとうございます!

https://novelgame.jp/games/show/10627

あとノベコレのコイン3枚で応援してもらうとニュースに掲載させることが可能らしく、掲載してもらいました。ありがとうございました!


本編の没案を公開しようと思いますが、本編のネタバレを含むのと、本編のイメージを損なう可能性があるので、そういうのはちょっと……という方は読まないでください。

 
 
 
 
 
 
 
 
 

ネージュがナンパされているところに声をかけたら彼氏と言われるイベント

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ゲーム開発初期のユーグはネージュを一人にしないことにそれほど熱心ではなかったので、たまにネージュが一人になることがあり、その隙にネージュがナンパされていました。

このイベントはシナリオの最初のほうと、お祭りの最中で二回発生し、それぞれでネージュの反応が違うというのをやりたかったです。
序盤は普通に「この人は彼氏じゃないです」って言うんだけど、お祭りの段階ではもっと慌てる感じで。
お祭りの最中に彼氏と言われる部分だけ最終的な本編に残りました。

ネージュは公式設定としては特筆するほどの美人ではないんですけど、聖女のパワーで(?)何となく人を惹きつけるという裏設定が薄くあります。

没理由は、そもそもネージュを一人にしないべきだと思ったため。

ネージュをお姫様抱っこするイベント(1)

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時系列はユーグが魔力欠乏症になって一日寝てろと言われたところです。

ネージュが椅子で眠ってしまった後、当初はユーグが自分のベッドに寝かせてあげようとしていました。
そのとき普通なら魔術で動かすのですが、魔力欠乏症だったので頑張って自力で運ぶというイベントでした。

ユーグがネージュを持ち上げて歩くことが可能なのかについては相当悩みましたが、たぶん数歩はいけるだろうと結論づけています。

このイベントはネージュを落とさず運ぶのに必死のユーグにはドキドキ感の欠片もなく、運ばれているネージュは寝ているということで、あまりラブコメ要素になりませんでした。
なのでネージュをベッドに寝かせたところでネージュが目を覚ますことにしてみたんですが、寝ている間にベッドに横たえられてユーグに覗きこまれている状況、怖くない……? と思ったので没案の中で更に没になりました。

最終的に断りもなく他人に魔術を使うのは駄目だという作中内での規範ができたのと、『肩を叩く』程度の接触以上に体に触れるのは避けるかなと思ったので没になりました。

ネージュをお姫様抱っこするイベント(2)

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初期では崖下に移動してからメネラに遭遇することになっており、崖下に降りるときにネージュをお姫様抱っこするイベントがありました。

初期案では、魔力の乱れの影響で、他人にかけた飛行魔術で姿勢制御がうまくできないという設定がありました。
そのためユーグはネージュを抱えて飛行する、という流れでした。
お姫様抱っこされて固まってるネージュが可愛いねというイベントです。

ユーグは自分の意思による行動ならばある程度接近しても平気です。
姿勢制御ができないだけならば腕につかまってもらう程度でも良かったんですが、ネージュが想定外の動きをして集中力が途切れて落下したりすると本当に死ぬので、ネージュが動けないようにがっつり抱えておくことにしました。

メネラ関係のイベントは初期案から大きく変更したので没になりました。

落下イベント

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私は男女が落下するイベントが大好きなので、本編にも入れようとしていました。

当初はメネラが魔術阻害を行うという設定があり、崖下に向かって飛行中に落とされるというイベントがありました。
魔術阻害には対抗可能なんですが、流石に一瞬では無理なので二人は岩肌に激突します。
でもネージュの祈りの力が無意識に発動したので無事に助かるというイベントです。

ユーグがネージュを守ろうとして抱きしめてくれるところと、自分が下敷きになってくれて自然に密着してくれるのが良さです。

最終的に魔術阻害という要素の取り扱いの難しさもあって消えました。

地縛霊(?)とのバトル

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没案では初代大聖女の騎士が地縛霊(?)になって襲い掛かってくるみたいなイベントがありました。
こいつを片付けるためにバトルしてました。

最初の案ではネージュが聖女らしく祈りの力で浄化しておりました。
初代大聖女の思念(?)はこの騎士を救おうとしていたものの、既に肉体を失っているためうまくいかず、ネージュを依り代にして力を発揮するみたいな流れでした。
このシーンではユーグが何の役にも立たず、完全に空気になっていて悲しかったです。

そのため推敲し、ユーグもある程度バトルに参戦するようにしました。
本編でも魔力障壁を張って~というくだりがありますが、あんな感じで地縛霊(?)の周りに障壁を張って抑え込むということをしました。

でもこのシーンはすごく書きにくくて、相当な時間をかけて書いても全然いい感じにできず非常に苦しみました。
そもそも初代大聖女や騎士役の思念がこの世に留まり続けているという状況が難しかったです。
この世界の宗教観は厳密に決めていませんが、『現世の試練を乗り越えた死後の魂は神様の元へ還る』という考え方は最初からあったので、特に初代大聖女の思念が現世に存在するというのは彼らの宗教観を根底から覆す要素でした。
人々の救済に尽力したはずの聖女が神様の元へ還れていないというのは異常な状況です。
このイベントにネージュが立ち会ったなら教義に疑問を持たないといけなくなって、本筋に全く必要ない複雑さを生み出していました。

最終的に、無理しないと書けないシーンは削ったほうがいいという悟りを得たので全部消しました。

ネージュを呼び捨てにするイベント

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初期のネージュはかなりユーグに呼び捨てにされたがっており、「祭りの最中だけ聖女であることを隠すために呼び捨てにしてほしい!」と頼んで呼び捨てにしてもらうイベントがありました。

ユーグは大変苦労しながら呼び捨てにしていました。
元々ユーグは敬語で話すときには一人称を変えるなど、話し方を丸ごと切り替えている人なので、敬語で話してるのに名前を呼び捨てにするというのが難しいんですね。
もちろんネージュは敬語もいらないと言いましたが、騎士役という立場上、そこまではちょっと……となって敬語は維持していました。

最終的に私が過去の私と解釈違いを起こしたので消えました。様付けで呼ぶのがいいんやろがい!
製作期間が長いとこうなる。

男性向けのちょっとえっちなラブコメ系イベント(そういうのが好きな方以外は閲覧しないでください)

私は男性向けのちょっとえっちなラブコメが好きで、制作当初は心の赴くままにそのようなイベントをたくさん書いていました。
最終的に作品のコンセプトを考え直して全部没にしたのでたくさんあります。

本編のイメージを大きく損ねる可能性があります。

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■ホテルの部屋に虫がいて外に逃がしてほしいと言われるイベント

本編では屋外で蜂がいるという形で残ったイベントですが、当初はホテルの部屋の中に大きい虫がいるというイベントでした。
本編だとネージュはただユーグの後ろに隠れるだけですが、没案はユーグの腕にしがみついていました。
そうです、ネージュのお胸が当たるイベントです。

ホテルの部屋に虫がいることってあんまり無いと思ったので没にしました。
ネージュが泊まってるのって結構いい部屋なので……。

イベントの概要は蜂のイベントに引き継がれたものの、お胸が当たる点が除外されたので、ユーグは近くで声が聞こえただけで魔術の発動を失敗する人になってしまいました……。
可哀想。

ちなみに時系列としては最初の町でのイベントです。今は足の怪我を直しているところにこのイベントが入っていました。
個人的には好きなんですけどね……。

■式典服が脱げるイベント

そもそも式典服はこのイベントのために「リボンを解くと脱げる」というデザインにしました。
心のままに作るとこうなります。

シチュエーションとしては式典後にネージュが部屋に入ってきて、閉まったドアにリボンが挟まって引っ張られるという感じでした。
一応ネージュが手で押さえてるのでギリギリ全年齢イベントです。

冷静に考えてネージュの心に甚大なトラウマを植え付けてしまうので没になりました。
私の脳内だとユーグとネージュは両想いカップルなので軽率にこういうイベントを書いていたんですけど、本編の時間軸だと二人はまだ恋人同士ではないですからね……。

あと二人の反応をどう書くかも非常に難しかったです。状況が非現実的すぎて想像が難しい。

私の想像では、ネージュはしゃがみ込んで固まってしまうと思いました。
男性向けラブコメのヒロインのように叫ぶとか物を投げるとかビンタを食らわすということはおそらく無理でしょう。突発的な事象に対する瞬発力が高すぎる。
きっと『どうしよう』で思考が停止してしまう。

一方ユーグもたぶん『どうしよう』で思考が停止すると思うんですよね。
数秒ほど固まった後、とりあえず後ろを向くかな……。

この出来事がユーグにとってどの程度刺激的なことなのか決めるのは特に難しいところでした。
結論として、別に裸が見えたわけでもないから大したことではないってことにしました。ネージュが式典服を着て祈るシーンは神聖な雰囲気のシーンなので、式典服着るたびに思い出してしまうほどのインパクトだと困るんですよね。

■リリカネイラの香り関連のイベント

シチュエーションは概ね本編と同様なのですが、本当に媚薬としての効果がありそうな感じで書いていました。

金縛りについて調べるのではなく、気を紛らわせるために魔術陣の説明を受けているという状況にしており、ネージュからの質問に答えてるけど上の空になっている的な感じ。
ただそれだけのことをすごく、すごく執拗に書いていました。
身体的接触以外の方法でちょっとえっちなラブコメを書きたいという執念で……。

ちなみにリリカネイラという架空の植物の元になっているのはイランイランで、私はこのイベントを書くためにイランイランの精油を複数購入しました。
イランイランの香りは好みが分かれるそうですけど私は普通に好きです。

■ネージュに自分のことを意識させようとするイベント(過激な内容が含まれるので閲覧注意)

最終的にR-18になり得るという判断で消した部分もあるので苦手な方は閉じてください。

泊まる部屋が一部屋しか確保されてないイベントが本編にもありますが、その没案が大量にあります。

現在のユーグは自分が男だと思われてなさそうだと思っても多少もやっとする程度で終わりますが、当初のユーグは「同じ部屋に泊まっていい」と言われた時点でかなりイラっとして、ネージュに自分のことを意識させようという気持ちが芽生えて何やかんやしておりました。

自分が意識されてないことに苛立って意識させようとする男というのがとても好きで、制作初期に書いていたイベントの中では一番気に入っていました。

気に入っていたが故に、過激すぎて没になっても形を変えて残そうとして何度もイベントの内容を変更しており、たとえば以下のようなパターンがありました。

  • ネージュを押し倒して触れる(ネージュが無知なパターンと、ある程度知識があるパターンの二つ書いていた)
  • 押し倒しはしないけど触れる
  • 接触はしないけど接近はする(※壁ドンの類型)

特に最初の押し倒し案はギリギリR-15のつもりで書いたけど、冷静に考えてR-18なのでやめました。
小説のR-18判定って絵ほど明確にはできないので、策を弄してR-18と言い切れなさそうな描写を行うことは可能ですが、なんかこう、邪な気持ちで書いたやつは全部R-18だと思ったほうがいいですね……。

没案の中で好きだった台詞が幾つかあって、個人的に一番好きだったのは「ユーグはずっと優しいよ」ですね。
最初の案で、ユーグはネージュにひどいことをしているという認識があって、でも自分で自分を止められずに行動しているのでネージュに拒絶してほしい・止めてほしいと思っていて、それなのにネージュは「ユーグはずっと優しいよ」と言うのでユーグの脳内がめちゃくちゃになるっていう……。

あとユーグが一度だけ「俺」という一人称を使うという鉄板の奴もありました。
一人称の変化はロマン。

最終的にはユーグの性格設定を見直し、このイベントは性格上発生しなくなったので消滅しました。

おわり